「日本はもう一度戦争してくれ」

ブザーが鳴ったので玄関を開けると、DHLの運送車がとまっている。また誰かがネットで買い物をしたのだ。荷物を受け取りながら、漢字でサインした。それを見たDHLのトラック運転手兼配達人は「日本人か」と訊く。そうだと肯定すると、彼は少し嬉しそうな顔して、自分はシリア人だといった。確かに色が浅黒く、ドイツ人には見えない。「日本はまた米国と戦争してくれ。米国こそ私たちの国を破壊したのだ」と彼はいう。私はたまげて、「日本は戦争に負けたし、核兵器もないし、(少し笑いながら)もうそんな元気などない」というと、彼は「核兵器もミサイルもいくらでもつくることができるはずだ」という。私は苦笑しながら、「問題は戦争で解決できない」とか賢そうなことをいうだけで、そのうちに彼は次の配達先へ向かった。

ドイツ、また西欧社会では米国のすることを、このシリア人のように考えている人は少ない。でも私は1999年のコソボ戦争以来、「アラブの春」とか「XX革命」とかいって演出された民主化運動から始まって内乱になるレジームチェンジの背後には米国がいると思っている。未来に希望のないアラブのたくさんの若者たちに武器を渡し、組織している人々がいるはずである。また米のドローン攻撃を遠隔操作している米軍基地はドイツにあるので、このようなバックグラウンドを考えると2015年の「難民歓迎文化」もとんでもない話であることがわかる。